東大将棋ブックス三間飛車道場2 居飛穴vs4三銀

作成日:2004.09.02
三間飛車道場 第2巻 居飛穴vs 4三銀 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-08-01
価格 :¥1,430(2024/02/06 19:12時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

三間飛車道場の第2弾は4三銀型。形的には石田流の将棋になる。4三銀はやはり石田流と相性がいい。

内容としては、石田流に組んだあと△5一角から△7三角とする形と、△4ニ角から△6四角とする形。居飛車穴熊側が▲5六歩と突いた手を咎めるために△5四銀と出る形。それと、向かい飛車に変わって飛車先を逆襲していく指し方の4つである。

△7三角なんて言うから、てっきり楠本流でも紹介するのかと思ったら、普通に銀冠に組むだけだった。どちらかと言うと大山流という感じだ。△4ニ角から△6四角とする形にも新鮮味はあまりない。△5四銀からの玉頭銀もよくある形ではあるし、向かい飛車については『島ノート』で十分にも思える。
……と、正直あまり新鮮さは感じなかったのだが、既存の定跡を網羅的に収録する、というのがこのシリーズの目的なのだろうから、これはこれで仕方がない気がする。特に三間飛車はあまり定跡が整備されていない印象があるので、まずは舗装工事から、ということなのだろう。

編集的にも、一応、初めての試みがいろいろなされている。「黄色本」で懐かしい定跡百科シリーズで採用した形勢判断記号だとか、図にいろいろ注釈を入れるだとか。
読みこむのではなく辞書として使う場合、これらは非常に役に立つだろう。本文を読まなくてもその形のよしあしがパッと判るから。
また、最終ページには、まとめのような格好で各章の基本図が載っている。しかし各章ということは全部で4つなわけで、たった4つの図面を載せてどれほど役に立つのか……? と思ってしまう。むしろ各章ごとに1ページ4図面くらいにしたら、もう少し目次的な使い方ができるかもしれない。

とりあえずしばらくは三間飛車道場しか出さないそうなので、少しずつでもいいから改良して欲しい。
そう言えば、各章に入る前のオープニングの解説部分が、図面3段組ではなく2段組になっていた。これ、そんなにたいした事がないように見えるが、見栄えが全然違う。これは個人的になかなかヒットだった。