木村一基の急戦・四間飛車破り

作成日:2005.03.30
木村一基の急戦・四間飛車破り (NHK将棋シリーズ)
著者 :木村 一基
出版社:NHK出版
出版日:2005-03-01
価格 :¥186(2024/02/05 20:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK将棋講座のテキストに加筆修正したもので、棒銀戦法、ナナメ棒銀戦法、▲4五歩戦法、鷺宮定跡の4つの急戦を解説している。

内容はかなり高度なものだが、急戦一本と絞っているので読んでいてもそんなに苦にならない。以前白砂のコラムでもちょこっと述べた通り木村さんは「四間飛車は急戦で潰せる」と言っていた(奨励会3段時代)人なので、実戦に生じやすい形に多く解説を割いている。

ライターの小暮さんが関わっているようで、それも本書の解説が判りやすい一因になっているのだろう。
また、NHK鈴木本と同じく、限られた時間の中で区切る解説になっているので、改めて読むと「もう少し変化の解説があればなぁ……」と思う部分はある。しかしまぁ、そんなに多くはないのでこれは気にしすぎかもしれない。

それより気になったのは、変化図等でところどころに出ている、色の変わったマス目。

本書では、というかNHKの解説当時から、「▲○○×」といった眼目の指し手をキャッチーに紹介、という体裁を取っている。例えば「強く前進▲3五銀」といった感じに。
そのため、その章の図面はほとんど全て、上の例で言うと3五の地点がグレーで塗られているのだ。

これがどういう効果をもたらすか。

いい意味では常にその地点を注意して読むことができる。だから、「ここが急所だからこういう手を指してるのか……」といったことが直観的に理解しやすい。
しかし悪い意味で言うと、ひとつの図面の中に「直前の指し手が太字で」「急所のマス目がグレーで」という二つの強調が混在することになって、少しうっとうしい。
あくまでも個人的な感想なのだが、これはちょっと失敗かなぁ……。
もちろん、意欲は買うし、この形式が解説の理解の助けになっていることは間違いない。
グレー部分を少し薄くするとか、もっと違う強調方法にするとか、もう少し改良すれば、初級者中級者向けの新しい解説方法として使えると思う。